2022年3月27日日曜日

Book in 2022 No.7 論理と感性は相反しない/山崎ナオコーラ

 2022.3.27  

山崎ナオコーラさんの本初めて読んだ。フィクションなんだろうけど実体験がたくさん盛り込まれていそうな、登場人物に関連性がある短編集だ。二十代前半の人たちは、自分がそうであったように本当にとっても生意気だ。世間を知らなかったんでしょう。でも、よほど強靭な心を持ってない限り、みな歳を重ねる過程で精神を擦り減らし、自分がどんなもんかわかってくる。落ち込むってのは自分が思っていたよりできなかったとか、己に過度の期待をしていた分の跳ね返りなわけだが、当たり前だろ自惚れんなとあの頃の自分に言いたい。今は謙虚になりつつある。どんどん自分を否定して、疑って、見解広く持って、色々吸収していきたいものだ。


2022年3月26日土曜日

Book in 2022 No.5-6 ハックルベリーフィンの冒険/マーク・トウェイン

 2022.3.26

アメリカンクラシックの代名詞のような小説である。開高健の著作「輝ける闇」に出ていたのをきっかけに読んでみた。本が書かれた1800年代というのは、南北戦争、奴隷制度のような今の社会では理解し難いできごとが普通に起きていた。ほぼ原文のまま訳してある黒人を表す言葉も今では口に出すのは憚れる蔑称が使用されている。ほんとに非人道的だった時代だ。他の著書で読んだことには当時の人が死ぬ原因No.1は、人に殺されることだった。日本でも同じ国民同士で殺し合いしてたわけだから、世界共通だったのだろう。命に対する考え方は今とは当然違うわけで、そんなに深く考えなかったのかな。今では何か目標を持ったり、夢を実現するためだったりの生き方が多くみられるが、当時は生きるため生活していたのだろうか。でも文学や物語は当時から存在して、多くの人に影響を与えてきたのだろう。作中のトム・ソーヤなんて、本で読んだ囚人の在り方、窃盗の仕方、すべてその本式通りにやらないと気が済まないたちで、いくらハックが反対しても押し通すところは、子供が抱く純粋な心のように感じられてかわいくも見えてくる。筏で川をくだるなんて今は考えられないけど、植村直己はちょっと前にアマゾン川でやっていたな。冒険家は偉大だ。


2022年3月18日金曜日

Book in 2022 No.4 インドラネット/桐野夏生

2022.3.18


 簡単に言うとカンボジアに友人を探しに行く話なのだが、そこに付随するストーリー展開のボリュームが著者の経験や器を表している。僕は尊敬する人がやることはすべて素晴らしく思えてしまうので、公平な書評をしないといけないとしたらよろしくないと感じながらもやっぱり感心してしまう。東南アジアはベトナムしか肌で感じたことないから詳しくはわからないが、カンボジアという国には歴史を顧みても少し狂気を感じる。まあポルポト政権に対するそれなのだが。そういった歴史背景がこの本の不気味さをより引き立ててるようだ。桐野さんの著書は、フィクションとノンフィクションを巧みに融合させて問題提起をしているところに肝があるというか、物語に引き込まれる要素が詰まっているなと感じる。早よ次の本読みたい。