2019.4.14
ふたつのしるし/宮下奈都
1人の少年と少女の成り立ちを、学生時代から社会人までの時系列で辿ってゆく。2人は2本の並び合う線路のように、真っ直ぐ平行線の人生を進んで行くが、ある時、2人の名前という共通する部分を持って交わる。
この2人の生き方はとても生き辛そうだ。とにかくとやかく考え過ぎだ。まあ確かに、彼は何も考えていなかったでは、小説として成立しないからわかるのだが、とにかく疲れてくる。日常生活において、我々は常に選択をする。道を左へ右へ、話をするしない、取っておく捨てる。人間の行為はすべて選択により決められているとも言える。僕はとにかく遅い。選択が。いつもあっちかなこっちかなと考えている。結局やりたいことはコレだろうと自分自身わかってても、様々なケースを考えて思考をめぐらしたのちに、やっとのこさやる。たどり着くまでが遅いから人より時間がかかるし、疲れる。ただ、いいのか悪いのかそれが所詮自分だとわかっているから、お前はそんなもんだといつも楽観視する始末。そんな時できない自分に苛立つっていうのは、つまり自惚れなのだろう。無意識下で自分はできる人だと思ってるから、できないこ自分に苛立つ。お前はそんなもんだと認めれば楽なのに。