2021年1月27日水曜日

Novel in 2021 No.4 さよなら、ムッシュ/片岡翔

2021.1.27  さよなら、ムッシュ/片岡翔

 一人の青年と喋るぬいぐるみの話。北野武さんの本を読んだ後だけあって、一段とピュアなストーリーに思えた。武さんの本はピュアに犯罪まがいだった。
 主人公の星太朗青年は難病にかかり、余命半年と宣告される。死ぬまでにやってみたいことを彼の唯一の友達である、ぬいぐるみのムッシュと叶えていく。人は失うとわかると、その対象であるひと、こと、ものの大切さがわかる。経験したこと無いけど、命となれば尚更だろう。ある日突然死んだら仕方がないというか、どうしようもない。なら死までのリミットがわかっているなんてのはどうだろう。始めは落ち込むが、覚悟を決められる時が来るのだろうか。入滅し、晴れやかな気持ちで明るい階段を登って行けるのだろうか。
 今こうしてタイピングしてる間も気分がよくない。不整脈なのか、動悸なのか、脳までの道が渋滞してる感じで、血の巡りが悪い。早く寝よう。ブルーライトカットoff。









 

2021年1月25日月曜日

Novel in 2021 No.3 浅草迄/北野武

2021.1.25 浅草迄/北野武

 北野武さんの、幼少期や浅草での思い出を綴った本だ。テレビでは世界丸見えを始め、ずっとふざけてばかりの北野さんだが、小さな頃から変わってないようだ。でもそればかりではなく、映画を撮ったり、執筆したりと、お笑い以外でも世間に貢献しているところがあっぱれだ。三つ子の魂云々というように、幼少期に見たり感じたりしたことが、大人になる頃の性格や行動を形成するのは間違いないだろう。歳を重ねると、計算したり予想したりで行動を自重しがちだが、意のままに進むことで面白いことや、面白い自分にも出会えるかも。そんなことを思った。自分を解放しよう


 

2021年1月20日水曜日

Novel in 2021 No.2 仏教の大意/鈴木大拙

2021.1.20   仏教の大意/鈴木大拙

 難解。実に難解だ。わかりそうで、わからない。いや、全然わからないと言ってもいい。鈴木大拙が1946年4月23、24日に渡り、天皇皇后両陛下に向けて行った「御進講」の内容を文字に起こしたものが本書である。一般的な仏教の教義ではなく、大拙さんが考える仏教の真髄だ。これから様々な仏教書に目を通せば、この本が言わんとすることが理解できるようになるのだろうか。煩悩が無くなる時は浄土への旅立ちの日であろう。
 


2021年1月9日土曜日

Novel in 2021 No.1 日没/桐野夏生

2021.1.9  日没/桐野夏生

 2021年スタート。今年1冊目は桐野夏生さんの「日没」から。新年幕開けなのに日没で、見るからに不安過ぎる装丁だ。桐野さんの小説はこれが初めて。
 何かに取り憑かれたかのうように一気読みをしてしまった。”マッツ夢井”という名の小説家が、小説の内容を正すことを目的とした国家機関に監禁される。冒頭から不穏な空気が流れ、まもなく世界観に引き込まれた。
 最近の日本といえばコンプライアンスとやらをとても気にする。規制や規則でどこも雁字搦めで、未来では何もできなくなるんじゃないかと思うぐらい息苦しい。元々右ならえ右、出る杭は打たれるといった国民性だが、ネット社会が追い討ちをかけ、その激しさは増すばかりである。みんなが周りに合わせ、穏便でぬるま湯のようなハッピーエンドな小説ばかりが溢れれば、いい世の中になるのだろうか。