2021.2.7 共生虫/村上龍
タイトルから不穏な空気が読み取れる。引きこもりの少年に共生虫という虫が取り付く話。実際には妄想により取り付いたように思い込み、共生虫が取り付いた人は、人を処刑することが許されているというネット上での話を信じ込み、自分の行動を正当化する。
現実に不満や不平があったり、自分の不甲斐なさを感じていたり、思っていることとやっていることにギャップがあると、「あなたは間違ってない」っていう事象や言葉をどこかに探したくなる。自分に自信がないんだろうなとも思う。
巻末に印象に残る言葉があった。「不要な接触を断ったから気づくことができたのだとウエハラは思った。他のほとんどの人間は不必要な人間関係の中で本当に自分が必要としているものは何かということがわからなくなっている」引きこもりがいいか悪いかは人に寄るだろうから、どちらかが正しいとは言えないが、2021年現在、僕個人が不必要なものが多すぎて混乱しているのは間違いない。際限なく入ってくるニュース、メール、他人の行動など。今のお前に本当に必要なのか。ミニマリズムではないが、そういった生活を求めて行きたいと思う。
小説を教義として読んでしまいがちだが、いつも飛躍し過ぎてしまう。でも自分に新たな価値観や物差しが加わる感覚が小説の面白いところだ。
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