A Day in my Life...
2023年6月15日木曜日
Book in 2023 No.10 (59) 黄色い家/川上未映子
2023.6.15
(吹田市の宿にて)
文豪の文章は、多彩な比喩を用いて人の心理をこと細かく洞察する。毎節繰り広げられるその表現力に唸ってしまうのだが、それはいつしか物語としてではなく「文章芸術」として目に飛び込んでいることに気づく。一節ごとに山を登るような力を使うので、やがて全体を通しての物語の明晰さは遠のいていくような感覚になる。
一方、川上氏の文章は多彩な比喩を用いているにもかかわらず非常に明晰で、山というよりは緩やかなトレイルを越えていくような文体で終始心地がよい。
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