2019年7月21日日曜日

Novel in 2019 No.21 K2 復活のソロ/笹本稜平

2019.7.21

K2 復活のソロ/笹本稜平

   








 人間に与えられた冒険という素晴らしき行為に深く感銘を受けた。冒険というのは、やれるやれないではなく、やるかやらないかである。何事もやらないとわからないから面白い。人生というものが無意味なものとすれば、そこに意味を付けるのは人間の勝手な行為である。周りの人間からしたら戦争でも山行でも生きて還ることが重要なことだと思うが、仮に当人が命を落としても、自身がそれで人生を全うしたと感じているなら、それを否定してはいけない。生き切ったという意味では賞賛すべきだとも思う。いい本でした。

2019年7月7日日曜日

Novel in 2019 No.20 ハコブネ/村田沙耶香

2019.7.6

ハコブネ/村田沙耶香



  











 
 3人の女性が思いをぶつけ合う。ただ、みな個々に独特の感性を持つため、気持ちに寄り添い合うようなことはなく、小言を言われながらもそれぞれの道を進む。この小説はノンフィクションなので、現実と照らし合わして本の感想を述べるのはナンセンスかもしれないが、登場人物の言動はみな一様に「こんな人いないだろう」と思わせる。現実とかけ離れた小説の設定なんていくらでもあるのだが、この小説の場合そんな感想が出てくる。なんだろうか、文章の羅列が人物の独りよがりなのか、作者の独りよがりのようにも見えてくる。小説は小説家が放つ表現方法と捉えるなら、その意図を捉えることが今の僕にはできなかった。