2021年8月14日土曜日

Novel in 2021 No.9 ロンリネス/桐野夏生

 2021.8.14   ロンリネス/桐野夏生

 ママ友たちの複雑な話。都会に住むママ達がこうも対抗心や嫉妬心を燃やして生きていると知ると、片田舎に住む自分はなんとも平和な世界で生きていて安心する。色々な刺激は確かに日常には必要だ。でも他人と比較したり、何でも打算的に行動していたら疲れるし、何よりも辛くなりそう。
 桐野さんは特段複雑な表現を使わないし、伏線を張るような文回しはないけど、読み応えたっぷりでいつも先を急がせる。今年3冊目だけど、まだまだ読みたくなってしまうな。


2021年7月20日火曜日

Novel in 2021 No.8 暗夜行路/志賀直哉

2021.7.20 暗夜行路/志賀直哉

2020年3月に「おのみち文学の館 志賀直哉旧居」にて購入した暗夜行路の文庫本をやっと読み終えた。この文学の館ではとても良い時間を過ごせた。学芸員の方は初め素っ気なかったが、僕が志賀の小説を読んだことあると聞いてからは、志賀に纏わる、あれやこれやをこと細かく教えてくれた。中でも印象に残っているのは、志賀の文章が少ない言葉で端的に物事を伝えるという特徴から、新聞社の新人研修で彼の文章を視写しているとのことだ。そういう事前
情報を抱き小説を読んでみると、風景を想像させる緻密な描写や、心の細かな動きの表現に唸ってしまう。想像できるけど言葉に言い表しにくことってあるけど、彼はそれを言葉で表現できてしまう。本って楽しい。



2021年4月5日月曜日

Novel in 2021 No.7 緑の庭で寝ころんで/宮下奈都

 2021.4.5  緑の庭に寝ころんで

日々を丁寧に生き、観察し、そこから受ける恩恵を描く。宮下奈都さんに抱いている印象はそんな感じ。子供三人いながら小説を書くってすごいこと。いかにして自分の時間を確保するか。それってすごく大切だし、それが無いと自分を保てなくなりそう。


2021年2月14日日曜日

Novel in 2021 No.6 夜の谷を行く/桐野夏生

2021.2.14  夜の谷を行く/桐野夏生

 今年2冊目の桐野さん。初めて読んだ時と同じく、次の展開が気になってしょうがない文体や内容に痺れる。
 連合赤軍の話だ。本書は始めフィクションと思っていたが、実名が多く登場するノンフィクションものだった。あさま山荘事件は学生運動の末路ぐらいに捉えていたが、てんでそんなことはなく、その実態は狂気で戦慄で悲劇的なものだった。物語は元連合赤軍兵士、西田の目線で進んでいく。彼女は過去の行いで周囲の人間が苦しんだことを重んじ、服役後はひっそり生きていこうと決める。ただ、そんな日常も1本の電話から狂い始める。
 2回目の読書芸人で光浦さんが桐野夏生さんを紹介していた。女が見せる意地悪な態度の描写に興奮していたが、わかる。西田と妹がよく小競り合いをするのだが、その応酬は意地の悪さ、皮肉、悪態、疎外で満ちている。よくこんな苛立たせる表現ができるなあとニヤついてしまう。早く別の作品が見たくなる。

 

2021年2月7日日曜日

Novel in 2021 No.5 共生虫/村上龍

 2021.2.7  共生虫/村上龍

 タイトルから不穏な空気が読み取れる。引きこもりの少年に共生虫という虫が取り付く話。実際には妄想により取り付いたように思い込み、共生虫が取り付いた人は、人を処刑することが許されているというネット上での話を信じ込み、自分の行動を正当化する。
 現実に不満や不平があったり、自分の不甲斐なさを感じていたり、思っていることとやっていることにギャップがあると、「あなたは間違ってない」っていう事象や言葉をどこかに探したくなる。自分に自信がないんだろうなとも思う。
 巻末に印象に残る言葉があった。「不要な接触を断ったから気づくことができたのだとウエハラは思った。他のほとんどの人間は不必要な人間関係の中で本当に自分が必要としているものは何かということがわからなくなっている」引きこもりがいいか悪いかは人に寄るだろうから、どちらかが正しいとは言えないが、2021年現在、僕個人が不必要なものが多すぎて混乱しているのは間違いない。際限なく入ってくるニュース、メール、他人の行動など。今のお前に本当に必要なのか。ミニマリズムではないが、そういった生活を求めて行きたいと思う。
 小説を教義として読んでしまいがちだが、いつも飛躍し過ぎてしまう。でも自分に新たな価値観や物差しが加わる感覚が小説の面白いところだ。


2021年1月27日水曜日

Novel in 2021 No.4 さよなら、ムッシュ/片岡翔

2021.1.27  さよなら、ムッシュ/片岡翔

 一人の青年と喋るぬいぐるみの話。北野武さんの本を読んだ後だけあって、一段とピュアなストーリーに思えた。武さんの本はピュアに犯罪まがいだった。
 主人公の星太朗青年は難病にかかり、余命半年と宣告される。死ぬまでにやってみたいことを彼の唯一の友達である、ぬいぐるみのムッシュと叶えていく。人は失うとわかると、その対象であるひと、こと、ものの大切さがわかる。経験したこと無いけど、命となれば尚更だろう。ある日突然死んだら仕方がないというか、どうしようもない。なら死までのリミットがわかっているなんてのはどうだろう。始めは落ち込むが、覚悟を決められる時が来るのだろうか。入滅し、晴れやかな気持ちで明るい階段を登って行けるのだろうか。
 今こうしてタイピングしてる間も気分がよくない。不整脈なのか、動悸なのか、脳までの道が渋滞してる感じで、血の巡りが悪い。早く寝よう。ブルーライトカットoff。









 

2021年1月25日月曜日

Novel in 2021 No.3 浅草迄/北野武

2021.1.25 浅草迄/北野武

 北野武さんの、幼少期や浅草での思い出を綴った本だ。テレビでは世界丸見えを始め、ずっとふざけてばかりの北野さんだが、小さな頃から変わってないようだ。でもそればかりではなく、映画を撮ったり、執筆したりと、お笑い以外でも世間に貢献しているところがあっぱれだ。三つ子の魂云々というように、幼少期に見たり感じたりしたことが、大人になる頃の性格や行動を形成するのは間違いないだろう。歳を重ねると、計算したり予想したりで行動を自重しがちだが、意のままに進むことで面白いことや、面白い自分にも出会えるかも。そんなことを思った。自分を解放しよう