2020年12月14日月曜日

Novel in 2020 No.16  ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンズ

 2020.12.14  ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンズ

 アメリカでかなり売れているとのことで興味が湧き読んでみた。沼に独りきりで住む少女を描いており、いまだに絶えない人種差別が今以上に過激だった1950〜60年代の話だ。少女は人々の嫌がらせを受けながらも懸命に生きていく。少ないながらも彼女を陰で支える人がいて、そこにわずかな光を見出し、彼女にしかできないことをやり遂げる。著者が生物学者ということで、自然界に生きる動植物、生態系などの描写が緻密でリアリティがある。
 ところで人種差別はどの国でもあるが、とりわけアメリカで起きるその類の事件はやたらと世界の注目を浴びている。アメリカ中東部に行った時、人生で初めて差別的なことは体験したことがある。他人事でしかなかった人種差別問題は、実体験することで少しは身近に感じるようになった。ただ、その時もどこか他人事のような感じがして、これが人種差別かと客観的に捉えていた。今思えば、旅の途中だったこともあり見た目がかなりくたびれていたから、それが原因とも考えられる。引かれることは日本でもよくあることだ。
 話が逸れたが、他に出会った99%の人はみな往々に気さくだし優しかった。白人だろうが黒人だろうがいい人ばかりだ。本当にこの人たちがそんなことするのかなとか思ってしまうが、世界を悪い方向に導くのはほんの一握りの人なんだろうなと思う。一部の人よ、無意味な争いごとは辞めよう。
 


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