2019年3月20日水曜日

Novel in 2019 ⑪ 盲目的な恋と友情/辻村深月

盲目的な恋と友情/辻村深月



    僕の周りには親友や友達と呼べる人がいる。しかしその友人をどうにかしてあげたいなどと、世話を焼くことはしない。自由にやってる友人が面白い。「誰にもきちんと執着されたことがないから、友達のことを自分のことのように躍起になるんだよ」こんな言葉が出てくる。人に愛されていない、或いは愛されてこなかったというのは人に様々な影響を与えるのだと思う。
   ラジオで人生相談を聞くときもそうだ。あの番組に出る人の悩みは夫婦間のトラブル、浮気不倫、子供の問題、相続、どう生きていけばいいかわからないなど多岐にわたるが、流石のパーソナリティたち、酸いも甘いも経験した人生哲学で次々と解決策をひねり出す。そして相談者は決まって、トラブルを抱えるのは避けられないような一部欠陥のある人が多い。そんな彼らの問題は今起きてるのだが、パーソナリティはなぜそれが起きたのか、そこに至るまでに理由があったはずだと、彼らの過去を探ることも多々ある。するとやはり幼少期の育ち方が尾を引き、今の問題に繋がることが多い。その中でよく耳にするのが、幼少期に愛されてこなかったという問題だ。親にとっては小さなことでも、子供は違う受け取り方をすることもある。それを念頭に入れ子供と接しないと、子供の向かう方向は少しづつズレて行く。
    自分を客観視できるようになるまでは、苦しむことも多いだろうが、そんな時に大切なのが友達なのだろう。悩みは解決しなくても、話すだけで幾分か楽になるのことがある。悩んでたことが嘘だったかのように。友達が多いのは悪くはないが数より中身、いわば真剣度が大切だ。これからも友達とはいい距離を保ち関わっていきたい。いなくなるとただただ生き辛くなる。

2019年3月8日金曜日

Novel in 2019 ⑩ ファーストラブ/島本理生

2019.3.8

ファーストラブ/島本理生


娘が父親を刺して、殺した。この事実の背景を、臨床心理士である真壁由紀の目線から解き明かしていく。
   人が人を殺す理由は様々だ。加害者側が悪いのか、それとも被害者側に殺されても仕方がない理由があるのか、一見してわからないこともある。三つ子の魂百までと言われるほど、幼少期の親のあり方、子供への立ち振る舞い、教育環境などは子へ影響する。親からは当たり前と言われたことが、世間で否定される。その時、子はどうすればいい。自分を否定し始める。周りには親しかいない。頼ると怒られる。子は演技をする。辛い演技を。私は何も気にしてないよ、と。限界が出てくる。できない自分に苛立ち、そして自分を傷つける。助けのないままそれは習慣化され、やがて子は、、
    真壁由紀も負を抱えていた。だが、夫の我聞やクリニックの院長に出会い、人生の航路が変わった。10代の1人旅を、自分探しと茶化すことがある。自分探しというのは、自分は本当は何が好きなのかを探すという意味もあれば、自分自身を認めることでもある。自分とは何か。それがわかって初めて進むべき道が開く。こう書いてるものの、道に迷ってばかりなので、自分は口ばっかりだなと、自分を認めてみる。
    決して幸せな物語ではなかったが、著者の強い思いが感じられる、学ぶべき点が多い小説だった。

    

   

2019年3月3日日曜日

Novel in 2019 ⑨ 真実の10メートル手前/米澤穂信

2019.3.3

真実の10メートル手前/米澤穂信


 









 脳がブドウ糖を欲している。読み終えた後にそう思った。ただこういった没入は良い疲れであり、読後、外へ出たら風をいつも以上に気持ちよく感じた。
    この本は6つの異なる短編で構成されているが、記者である太刀洗万智が全編に登場し様々に躍動する。切れのいい状況説明と人物間の会話により、淀みなくストーリーが流れ、次々とページがめくられる。ミステリー特有の人を引き込む力がいかんなく発揮されている感じがする。
    各編、太刀洗万智以外の中心人物の一人称により展開していく。その中で彼女とやり取りをする人物が彼女に対して何を感じ、何を思うのか、その心の読みが面白い。初め彼女と接する人物はみなめいめいにして、彼女を訝り、呆れた態度を取るが、物語が進むにつれて己の誤りに気づき、彼女の聡明さに感心し始める。彼らは彼女に対しての誤解を恥じるというよりは、その思考の切れ具合に畏怖を抱く。水戸のご老公が悪を成敗した時のような快活さがあり、心がスッキリする。
    作者は岐阜出身のため東海地方が舞台となるのも面白い。素直に別作品も読んで見たいと思う。


2019年2月28日木曜日


カワサキメグロSG

隼とカワサキメグロSG  2013

  ついにSGを手放す時が来た。大学4年生の時に手に入れた時、すごく嬉しかった記憶がある。その理由はそれまで乗ってたバイクは70年代生まれだったが、初めての60年代のバイクだったことだ。70年代のバイクは若干だが現行車に通じるところもあったりして、そこまで古い印象はなかったが、60年代だと流石に古いと感じるところが増える。
   旧型バイクを知るきっかけにもなった。たくさん故障してくれたおかげである。こいつとは北は東京、南は鹿児島まで走った。ありがとう。また会う日まで。近い人に譲ったのでまた会うだろうけど。

2019年2月24日日曜日

Novel in 2019 ⑧ トラペジウム/高山一実

2019.2.24

トラペジウム/高山一実







  今話題の小説だ。帯文に中村文則さんの紹介があったことや、雑誌ダ・ヴィンチで作者本人がこの小説の成り行きなどを説明しており、少し心惹かれるものがあったので読んでみることにした。
 ストーリーは主人公東ゆうの目線で進められてゆく。アイドルになるために様々な策を講じ、四方八方へ奔走する主人公だが、理想と現実の差に時折落胆する。高校生特有の根拠のない自信が自由に描かれていて微笑ましくなる。己のエゴを通し、仲間を悲しませるところも青春を感じる。目標を持って行動することは、今でこそ必要性を感じているが、子供のうちから明確にすることは確固たる強い意志がないとできない。主人公のようにあの黒髪のアイドルのようになりたいんだ!と順序だてて行動する人と、のうのうと過ごし週末はただブラブラと遊んでいた人の違いはなんだろうか。考えても明確な答えは出ないが、どれだけその時に自分の人生と真剣に向き合ったかどうかかもしれない。もちろん大人のように理屈からではなく、感情から生まれる行動だとは思うが。
 幼少期から高校生頃までに抱く目標と、社会人となりそれなりの人生経験を積んでからの目標は、同じ目標ではあるが、達成できる速さが異なると思う。経験は積んでいいこともあれば、同時に重荷にもなる。頭にリスクヘッジがよぎるのだ。そして当の本人はリスクヘッジだというが、それはただのやらない言い訳ともいえる。だから近道のいばらの道を通らず、安全だが遠回りの舗装路を選ぶ。ただこの遠回りには体力がいる。並の遠回りではない。大器晩成だなんてカッコつけて言えるのは、目標地点に辿り着き、なおも走り続ける体力が残ってる人だけだろう。
 この小説は作者の体験が織り込まれていて、強い意志が感じられた。自分の場合はどうだろう、遠回り道の中間地点くらいにはいるのだろうか。その答えがわかるまでは自分を諦めないようにしたい。

 

2019年2月17日日曜日

Novel in 2019 ⑦ その先の道に消える/中村文則

2019.2.17

その先の道に消える/中村文則










 ある緊縛師の話である。中村さんは人の様々な心理状態から生まれる些細な行動をいつも上手く表現している。例えば物語の中で、会計中に財布の中に必要な小銭がすぐ見つかっても少し探すふりをしてから小銭を渡した、という場面がある。こうした小さな奇行は日々自分の心理と向き合い、細かな観察をしてるこそ描けるのではないかと思う。こういった描写が物語の中で幾重にも重なり、緊迫感や緊張感を与えていると思う。
    もうひとつ印象に残ったフレーズがある。人が何かミスをするのはただの不注意と思われるが、実は無意識の中の願望がそうさせたという描写だ。仕事中のミスにより、様々な問題が発生するが、時たまこれを間違えたらこの先の結果はどちらへ転んでいくのだろうか、という興味が湧くことがある。例えばジェンガというゲームは木片が重なりあってできた塔をいかに崩れないように木片を抜いていけるかを争うわけだが、時に思いっきり破壊したくもなるのはそういう心理からだろうか。社会性や秩序を重んじるのは生きてゆく中で必要なことだが、やはり煩悩だらけの人間、たまにはが息抜きが必要となる。実社会ではそれが犯罪という形で為され、人生が終わりかけることもあるが、小説というフィクションの中ならそれが可能だ。
   人間の様々な心理状態から転じて起きる行動をよく観察すること。この作者からはいつも色々なことを学ぶ。

get a life again

  

2年前から動かなくなっていたメグロSG。走ってる途中いきなりクランクの方からカラカラ音がしたので、恐らくそういうことだ。スペアのエンジンがあったので、そのままスワップすることにした。

キャブの面研、右クランクケースのガスケット作製、タペット調整など色々してやっとこさ火入れの準備が完了。しかし火が飛ばない。プラグから始まり、プラグキャップ、プラグコード、イグニッションコイル、フィールドコイル、ポイント、コンデンサーなどをチェックしても飛ばない。Why…その日は解決せず、次の日徹底見直ししてたら火が飛んだ。恐らくポイントの面上がまだ荒れてたのか、もう一度綺麗にペーパーがけしたのが良かったのかもしれない。それにしても苦労した後のエンジン始動は何度やってもたまらない。素直に嬉しい。あとはタンク取り付けて細かいとこ詰めて行くだけとなった。楽しみ