2019年4月14日日曜日

Novel in 2019 No.14 ふたつのしるし/宮下奈都

2019.4.14

ふたつのしるし/宮下奈都
  1人の少年と少女の成り立ちを、学生時代から社会人までの時系列で辿ってゆく。2人は2本の並び合う線路のように、真っ直ぐ平行線の人生を進んで行くが、ある時、2人の名前という共通する部分を持って交わる。
  この2人の生き方はとても生き辛そうだ。とにかくとやかく考え過ぎだ。まあ確かに、彼は何も考えていなかったでは、小説として成立しないからわかるのだが、とにかく疲れてくる。日常生活において、我々は常に選択をする。道を左へ右へ、話をするしない、取っておく捨てる。人間の行為はすべて選択により決められているとも言える。僕はとにかく遅い。選択が。いつもあっちかなこっちかなと考えている。結局やりたいことはコレだろうと自分自身わかってても、様々なケースを考えて思考をめぐらしたのちに、やっとのこさやる。たどり着くまでが遅いから人より時間がかかるし、疲れる。ただ、いいのか悪いのかそれが所詮自分だとわかっているから、お前はそんなもんだといつも楽観視する始末。そんな時できない自分に苛立つっていうのは、つまり自惚れなのだろう。無意識下で自分はできる人だと思ってるから、できないこ自分に苛立つ。お前はそんなもんだと認めれば楽なのに。



2019年4月7日日曜日

Novel in 2019 No.13 インシテミル/米澤穂信

2019. 4. 7

インシテミル/米澤穂信

  連鎖的に小さな脈絡を持つ12人が7日間ある施設に監禁される。それはとある人物が彼らを観察するためだった。精神・体力面において極限状態が近づいた時、人はどのように変化していくのか。互いに牽制し合い、疑い、やがて箍が外れて行き、参加者たちは
   極限状態というのは快適な環境の中では想像し難い。普段の生活の中でそれを感じることができるのは、バイクに乗ってる時くらいだろうか。自然の振る舞いに対しては人は身を任せるしかない。それを受け入れて耐えるしかなくなる。雪がチラつく中、こんなに寒いのになぜバイク乗るのだろうかと考えていても、いつも答えがわからないまま走っている。意味を考えたら身も蓋もない、そもそも人間の存在に意味があるかと言われたら、答えはどちらでも正しいし、間違っている気もする。こうして答えをはぐらかし続けて進んで行く。疑問を投げかけといて、答えを明確にしない。フワッと今日も進んで行く。