2023年6月30日金曜日

Book in 2023 No.12 (61) チュベローズで待ってる/加藤シゲアキ

 2023.6.30

 NEWSのメンバー、加藤シゲアキくんの作品を初めて読んだ。縁のない世界の話だが、生々しく伝わってきて、楽しく読み進められた。驚いたことに直近に読んだ小説には、3作連続で在日のキャラクターが登場した。過去の抗争事件などのイメージから在日=暴力・貧困社会という設定が話の中に一定の刺戟と緊張を生むのだろうが、当事者はどう思うのだろうか。


2023年6月25日日曜日

Book in 2023 No.11 (60) 光の人/今井彰

 2023.6.25

 
 戦後の生活を思うと今の生活が怠惰と思えてくる。戦後から近代にかけて、まだまだ知るべき人はたくさんいる。そんなきっかけを与えていただいた。


2023年6月15日木曜日

Book in 2023 No.10 (59) 黄色い家/川上未映子

 2023.6.15

 (吹田市の宿にて)

  文豪の文章は、多彩な比喩を用いて人の心理をこと細かく洞察する。毎節繰り広げられるその表現力に唸ってしまうのだが、それはいつしか物語としてではなく「文章芸術」として目に飛び込んでいることに気づく。一節ごとに山を登るような力を使うので、やがて全体を通しての物語の明晰さは遠のいていくような感覚になる。
 一方、川上氏の文章は多彩な比喩を用いているにもかかわらず非常に明晰で、山というよりは緩やかなトレイルを越えていくような文体で終始心地がよい。