2023年12月16日土曜日

Book in 2023 No.16 (65) 八日目の蝉/角田光代 再読

 2023.12.15

10年ぶりに読んだ。日本語にすがったLAの図書館での気持ちは今でも思い出す。


2023年12月12日火曜日

2023年9月3日日曜日

Book in 2023 No.15 (64) ひゃくはち/早見和真

 2023.9.3

高校野球は熱い。その舞台裏も熱かった。「青春」というワードはいつでも僕を惹きつける。いわゆる十代の熱い時期を青春ということが多く、あの頃を思い出すと、懐かしく、切なく、悪い思い出も良い思い出に昇華されて自然と笑みがこぼれる。そんないいものなら今でも味わいたいと、十代から続く趣味であるオートバイに今でも熱を上げているような気がする。いいな青春は。


2023年8月29日火曜日

あるヤクザの生涯 安藤昇伝/石原慎太郎

 2023.8.29

仁義シリーズやまむし兄弟に出演していた安藤昇氏。役者になるまでの半生はとても壮絶であった。命をかけるからこそ生み出せるものがあるという。かけずともそれで生活が左右されるという立場は燃えるものなのだろう。いつまで二の足踏んでるんだろうか。


2023年8月6日日曜日

Book in 2023 No.14 (63) チュベローズで待ってるAGE32/加藤シゲアキ

 2023.8.7

AGE22編からの続き。おもしろい。現実の日常はつまらない合法の中で進んでいくから、小説こそのアナーキーな世界にはそそられる。あぁ刺戟よ、もっと取り巻いてくれ。


2023年7月8日土曜日

Book in 2023 No.13 (62) 柔らかな頬/桐野夏生

 2023.7.8

 人は意もせず、心にもないことをしてしまう。謝って済ませられることならいいが、それが自分や皆の人生を崩壊させ、絶望しか残さないこともある。悔やんでも悔やみきれない瞬間や、やり場のない怒りや悲しみ、どう折り合いをつけてその後の人生を進めていくか。
 「何事も後悔なく生きていきたい」と言う人がある。綱渡りのような人生でそれを全うできるのは、あらためて奇跡に近いことだと考える。


2023年6月30日金曜日

Book in 2023 No.12 (61) チュベローズで待ってる/加藤シゲアキ

 2023.6.30

 NEWSのメンバー、加藤シゲアキくんの作品を初めて読んだ。縁のない世界の話だが、生々しく伝わってきて、楽しく読み進められた。驚いたことに直近に読んだ小説には、3作連続で在日のキャラクターが登場した。過去の抗争事件などのイメージから在日=暴力・貧困社会という設定が話の中に一定の刺戟と緊張を生むのだろうが、当事者はどう思うのだろうか。


2023年6月25日日曜日

Book in 2023 No.11 (60) 光の人/今井彰

 2023.6.25

 
 戦後の生活を思うと今の生活が怠惰と思えてくる。戦後から近代にかけて、まだまだ知るべき人はたくさんいる。そんなきっかけを与えていただいた。


2023年6月15日木曜日

Book in 2023 No.10 (59) 黄色い家/川上未映子

 2023.6.15

 (吹田市の宿にて)

  文豪の文章は、多彩な比喩を用いて人の心理をこと細かく洞察する。毎節繰り広げられるその表現力に唸ってしまうのだが、それはいつしか物語としてではなく「文章芸術」として目に飛び込んでいることに気づく。一節ごとに山を登るような力を使うので、やがて全体を通しての物語の明晰さは遠のいていくような感覚になる。
 一方、川上氏の文章は多彩な比喩を用いているにもかかわらず非常に明晰で、山というよりは緩やかなトレイルを越えていくような文体で終始心地がよい。


2023年3月31日金曜日

Book in 2023 No.9 (58) 文章読本/三島由紀夫

 2023.3.31


小説を読む姿勢を革新させる1冊だった。発行されて60年以上の時が経ち言葉が持つ力も随分変わっただろうが、まだまだその力を信じてみたい。


2023年2月27日月曜日

Book in 2023 No.8 (57) すべて真夜中の恋人たち/川上未映子

 2023.2.26

本書がアメリカの文学賞にノミネートされたとのことで読み返してみた。読んだのは数年前だから内容を覚えておらず、初めて読んだような印象であった。恋愛の話ではあるが、シンプルで派手さの無い文体が良いリズムを生み出していて、終始心地が良かった。文豪の文体は明晰さに欠けているため—というよりは理解力が無いため—読み解くのに苦労するが、この作者はサクサクと読ませる。前述した心地良さもあいまって、最後まで読みたい気持ちを持たせてくれる。良い時間だった。


2023年2月19日日曜日

Book in 2023 No.7 (56) 開高健のパリ/開高健

2023.2.19

 パリ渡航の前後で、開高氏のパリに対する見解に変化があることが、本編に入る前の角田氏の解説のおかげでよくわかる。海外の情報が簡単に手に入らない時の海外に対する憧れは、現代とは比にならないだろう。そして実際に足を踏み入れた時の感動は計り知れないものなのだろう。今は知り過ぎてしまう時代だから、さまざまなことに対しての感動が減ってるかもしれない。




2023年2月18日土曜日

Book in 2023 No.6 (55) ストロベリーライフ/荻原浩

 2023.2.18


 恵介はグラフィックデザイナーとして独立した。当初たくさん舞い込んでいた仕事も次第に減ってくる。そんな折、実家の親父が倒れ帰郷することとなる。2年もの間実家に寄り付かなかったのは、実家の家業でもある農業を継いでほしい父親との、小さな確執があったためである。多少の気詰まりを覚えつつ実家に帰り、親父が普段野菜を育てているハウスを覗いてみると、思いもよらないもの「苺」が育てられていた。そんな話。

 この小説の文体は自分の好みではない点がいくつかあった。羅列してみる。
・ウケを狙う描写
・しつこい描写
・カッコ書きによる心情の説明
これらすべて映像前提の脚本であれば楽しいシーンになると思うが、文字として読み進めていくには少し疲れてくる。
 ただ、農業に関する話の内容自体は面白く、とても興味が湧いた。うちはじいちゃんが専業農家だったから今でも田畑がある。今は親父が野菜を育て、家で食べるには十分な量をいつも分けてくれるので、とても助かっている。が、現実的に将来どうすべきかということは考えていかなくてはならない。今の日本には兼業農家が多いということも、少し農業に前向きになる情報であった。
 自分の仕事で人が喜んでくれる。その喜びを直接目の前で伝えてくれる。これは本当に幸せなことで、やりがいに繋がるんだろうな。人生は短い。







2023年2月12日日曜日

Book in 2023 No.5 (54) 若きヱルテルの悩み/ゲーテ

2023.2.12

 青春は周りの目も気にせず奔走する力を与えてくれるが、桎梏が容赦なく襲いかかり、悩乱の時期でもある。旧友はハタチの時にヱルテルと同じく自らの命を絶った。悲劇でしかなかったが、彼はとても好人物であったからその行動に敬意は示したい。今彼に言いたいことは、ハタチの時の苦悩はその入り口に過ぎず、そしてそもそも人生とはそういうもので苦しみ喚き生きていくしかないと。でもそれを乗り越える楽しみがあり、傍には共に駆ける同志も必ずいると。

 

2023年1月30日月曜日

Book in 2023 No.4 (53) 満願/米澤穂信

 2023.1.29  

6つの短編から成り立つ作品集。登場人物の生い立ちや背景の複雑さが文章に深みを与える点と、文の構成の緻密さにいつも引き込まれてしまう。どのように筆を進めているかわからないけれど、完璧な図面の元に成り立っているように思える。日常生活にあるようでないような、その境界線を行き来するようなところがいい。


2023年1月24日火曜日

Book in 2023 No.3 (52) タスキメシ/額賀澪

 2023.1.20

ご飯とマラソンの話。ここ数年はランニングをしていることや、箱根駅伝も見るようになったので、色々思うところがある。ひたすら目標に向かって走る人たちは見ていて清々しく、歳のせいか涙腺が緩むことも増えてきた。
 「生涯青春」とは、バイク好きのじいちゃんたちを見ていた時にふと思いついた言葉なのだが、夢中になれることがあるって尊いことだ。自分の好きに邁進していこう。


2023年1月15日日曜日

Book in 2023 No.2 (51) 狐/永井荷風

 2023.1.15

 じいちゃんの家にずっと置いてあった「日本文學全集」から永井荷風の「狐」を読んだ。この本は初めて開いたのだが、本にはページを捲った形跡がなく、初めて酸素に触れたような顔をしてる。これ絶対じいちゃん読んでないわ。
 実体験か否かわからぬが、著者の幼少期に起きた狐にまつわる話だ。この時代の文学ではたいてい親父が子供もにカミナリを落としている。特に複雑な話でもなく、読み終えてしまった。この著者が文豪に名を連ねる由縁は。また次回作に持ち越し。


2023年1月14日土曜日

Book in 2023 No.1 (50) ある男/平野啓一郎

2023.1.14
2023年1冊目は、現在映画公開中の「ある男」で始まった。
 映画が公開された後に原作を読むというのは、何となく意に沿わないことだったはずだが、素直に読んでみた。
 この本が人を惹きつけるの点を自分なりに考えてみると、登場人物それぞれの出自の複雑さと、それが本の世界だけではなく現実ともリンクしていることにあると思う。さまざまな要素を収斂させる平野氏の感性には感服する。やっぱ視点がいいな。独特な視点が。言語化しにくいことを言語化してくれて、読みながら「ありがたいなー」なんて思ったりしてる。次回作も楽しみ。