2021年12月5日日曜日

Novel in 2021 No.11 輝ける闇/開高健

 2021.12.4   輝ける闇/開高健


初めての開高健を読了。写真は北アルプス涸沢カールにてテント泊中の1枚だ。ボキャブラリーが少なく悲嘆するが、この小説はすごい。日本語に限らず一つの事象を表す言葉は数種類あると思うが、この奥ゆかしさは日本語特有なのかな。今日の一般会話では散見されない語句も、この時代を感じられて心地よい。
 巻末の批評家の解説がよかったな。小説を書くことは労役だという。確かに。またこの方、三島由紀夫と対談し文学の話をした際「想像力で描いたならすごいことだが、現地を取材して描いたなら大したことでは無い」のようなことを言われたそうな。あくまでこの方の意見だが、その考えは旧世代のもので、現代文学では新しい生の在り方が求められると。やはり価値観は変わっていく。現在2020年代、この時の現代文学からすでに60年は過ぎている。今の時代が求めるものは何か、第二次
世界大戦以降、日本は戦争をしていない。でも、人々が世の中に満足して生きているかと聞かれても二つ返事ではいとは言わないんじゃないか。戦争が人生難の元凶の時代はそれさえ無くなればと思うけど、乗り越えても新たな敵が現れる。生きるという葛藤に終わりはない。






2021年10月4日月曜日

モンベルアウトドアチャレンジ 山歩き講習会<はじめての地図読み+実践編>大文字山 2021.10.2

 

初めてモンベルアウトドアチャレンジに参加した。講習内容は「はじめての地図読み」である。昨今はYAMAP等の高性能なアプリが登場しているけど、携帯落としたり、万が一のこともあるかもしれないので、いざと言うときの為にも学んでおきたかった。
 
当日午前9:30慈照寺入り口に集合し、近くの公園に移動して座談会からスタートした。講習のインストラクターはモンベル京都店や竜王店のから来た方たちで、とても優しい方ばかり。インストラクターの方から自己紹介が始まり、参加者全員が挨拶を交わした。自分も含めて登山経験が浅い人たちが多いようだ。大文字山への登山道が記載された国土地理院が発行している地図やテキストプリントが各自に配られ、講習がスタート。目から鱗で自分の行き先をコンパスで見定めるのは何とも愉快なことであった。その後、実践を兼ねて登山道を歩いた。これは繰り返し続けないとやり方を忘れてしまう。現にもう忘れつつあるのでは無いか。講習後、インストラクターから解散を告げられ帰宅の途につくつもりが、少し話すようになった所謂「関西の面白おばちゃん」と銭湯に行くことに。船岡温泉は来年で創業100年を迎えるヴィンテージライクな温泉だ。入口には和製マジョリカタイルが張られ、暖簾の先には昭和な世界が広がっていた。最近は行動することは億劫になることが多いが、何でもやってみる方がいい。様々な人と出会うことが自分の可能性を広げる糧になる。




2021年10月1日金曜日

2021.9.25~26 上高地〜涸沢カール

2021年9月25日午前3時半、念願の涸沢カールへ向けて出発した。紅葉シーズンということもあり、あかんだな駐車場も満員じゃないかと危惧していたが、かなり空いていた。上高地バスターミナルへ向かう。バスを下車し梓川沿いを歩き始め、穂高連峰が目に飛び込んできた。去年は雲隠れしていたので、全貌を納めたのは初めてだ。素晴らしい。河童橋から今回の山歩きがスタートする。

河童橋

徳沢

水が湧き出ているのか底から気泡が昇ってくる

徳沢から横尾へ

河童橋から2時間半、横尾へ到着 ここで昼飯タイム

横尾を出発。ここから徐々に登山道が始まる

本谷橋


岩の道が続くが、道はとてもきれいに整備してある

まあまあきついと聞いていたが、結構きつい

やっとヒュッテの文字が、、

涸沢カール到着

雲を被っているけど美しい

ここをキャンプ地とする

ナイスビュー

定番だけど写真撮ってみた

一人旅のお供は文庫本。嗚呼早くベトナム行きたいな 午後8時に就寝

明け方に雨が降った。テント撤収時には一旦止んだが、行動を始めたら本格的に降り始めた。こうなると楽しむ景色も無く、目的は下山後の温泉に入ってから牛乳を飲むことに切り替わる。

写真もろくに撮らず、一気に下り、明神池近くの橋へ。サルさん、ナイス位置。

帰り際、河童橋からの穂高連峰を望む。昨日の絶景はいずこへ。去年も今年も、帰りは雨だった。でも楽しかった。帰りは平湯の森へ。温泉に浸かり、雨でかじかんでいた指先や緊張した気持ちの張り全てが溶けた。登山の良さは、いつもの何倍も温泉が気持ちいいところもある。

今回の最大の反省点はシングルストーブを忘れたことに限る。無いのがわかった時に笑えた。トーチライターでの水を温める作戦も失敗だったし。ヒュッテの売店が潤っていて、飯を食えたから難を逃れたが、食後と朝のコーヒーが飲めなかったのは辛かった。

■改善点

・荷物の軽量化
→ザックを現在の50ℓから40ℓくらいにして、テントは1,000gを切るものを探す。
寝袋もコンパクトに。水がどこで確保できるかをちゃんと把握する。

・防水対策
→防水と謳っていたEXPEDのスタッフバッグに水が染みていた。ファーストエイドのバッグも染みていた。ジップロックに入っていたもの濡れていない。雨が降ってからザックカバーを付けるのが遅かったのも原因だが、もう少し強固な防水スタッフバッグが欲しい。それか防水のザックにするか。

・上りの筋力
→本谷橋から涸沢カールまでの道のりで足が一気に重くなった。フルマラソンの時のような致命的な痛みはないものの、筋力の無さを感じた。普段のウォーキングもいいけど、ジョグくらいで足に負荷をかけた方が良さそう。

昨年は徳沢、今年は涸沢まで。次は穂高連峰となるが、基本からきっちり勉強しよう。まずは西穂高登頂に必要な技術から学んでいく。

























2021年9月23日木曜日

Novel in 2021 No.10 走ることについて語るときに僕の語ること/村上春樹

 2021.9.23 走ることについて語るときに僕の語ること/村上春樹


タイトルの通り、村上さんの走ることについて語った本である。彼のエッセイ「職業としての小説家」にもランニングのことが書いてあったが、ここまでやっているとは思わなかった。一昨年フルマラソンを走ったので、ランニング中の心理状態について共感できることもあったし、自分の準備の少なさを痛感したりした。ランニングのプロが語ってると少し遠い存在のように思えてしまうけど、村上さんのような方が語ると素直に読める。今思うとランニングなんて中学生の時嫌いだったけど、こうして自らやると良いものだ。多分やらされるってことが本当に嫌いなんだろうな。夏はトライアスロン、冬はフルマラソンが村上さんのルーティンのようだが、自分は夏は登山、冬はフルマラソンのサイクルでできたら面白いだろうな。

2021年9月12日日曜日

ツーリング

2021.9.11

 久しぶりのツーリングで集合場所の静岡市へ向かう。怪しい天気予報だったが太陽が見え隠れし、東名高速を爽快に走れた。コロナ禍でなかなか会うことが許されなかった親友と再会を果たし、約2年間溜まった話を語り合い、出発が遅れる。本日は静岡県道60号線通称南アルプス線を北上し、目的地の富士見峠を目指す。
「林道野田平線」

出発15分でいつも通りの雨に振られ、笑えてしまった。登山用に買ったレインウェアなのに、ツーリングで先に使うとは。降ったり止んだりの雨の中、林道を見つけたので進入してみた。

林道を抜けると展望が開けた峠に到達した。雲海が見られ、心地よい風が吹き、心が洗われるようだ。展望台を後にし、さらに林道を進んでいくと、崖崩れが起き道路が寸断されていた。

人が頻繁に使用する道路ならまだしも、めったに使用されない道路は復旧されない。恐らく直したところで、こんな土剥き出しの斜面では、いたちごっこであろう。

しょうがないのでUターンしてみると、展望台からの景色が青空で彩られているではないか。また同じとこで写真撮ってしばらく語らう。にぎりめし持ってこれば良かった。

「富士見峠」

林道を始点まで戻り、再び県道60号へ。目的地の富士見峠へ到達した。富士見どころか、山中はまたガスってきて何も見えない。

さらに北上し、大井川鐵道終着駅の井川駅へ。近くの道の駅で遅めの昼飯を食べ、井川湖に掛かる夢の吊り橋なるところへ。

寸又峡に似ている。吊り橋怖い。

 井川湖を背景に撮影。この時点で15時を過ぎている。下山して静岡インター前で別れた。15時に帰還開始予定だったが、すでに17時半を過ぎている。袋井からは下道で行くぞと思いながらも結局面倒臭くなり、音羽蒲郡まで高速乗ってしまった。これも毎度のことだ。
 久しぶりの再会は実に楽しかった。旧知の間がらというものは、やはりいいものだ。帰ったらセローとダナーのメンテナンスしよう。

#YAMAHA

#YAMAHASEROW

#セロー#セロー225

#1KH#さすらい#DT200













 


2021年8月14日土曜日

Novel in 2021 No.9 ロンリネス/桐野夏生

 2021.8.14   ロンリネス/桐野夏生

 ママ友たちの複雑な話。都会に住むママ達がこうも対抗心や嫉妬心を燃やして生きていると知ると、片田舎に住む自分はなんとも平和な世界で生きていて安心する。色々な刺激は確かに日常には必要だ。でも他人と比較したり、何でも打算的に行動していたら疲れるし、何よりも辛くなりそう。
 桐野さんは特段複雑な表現を使わないし、伏線を張るような文回しはないけど、読み応えたっぷりでいつも先を急がせる。今年3冊目だけど、まだまだ読みたくなってしまうな。


2021年7月20日火曜日

Novel in 2021 No.8 暗夜行路/志賀直哉

2021.7.20 暗夜行路/志賀直哉

2020年3月に「おのみち文学の館 志賀直哉旧居」にて購入した暗夜行路の文庫本をやっと読み終えた。この文学の館ではとても良い時間を過ごせた。学芸員の方は初め素っ気なかったが、僕が志賀の小説を読んだことあると聞いてからは、志賀に纏わる、あれやこれやをこと細かく教えてくれた。中でも印象に残っているのは、志賀の文章が少ない言葉で端的に物事を伝えるという特徴から、新聞社の新人研修で彼の文章を視写しているとのことだ。そういう事前
情報を抱き小説を読んでみると、風景を想像させる緻密な描写や、心の細かな動きの表現に唸ってしまう。想像できるけど言葉に言い表しにくことってあるけど、彼はそれを言葉で表現できてしまう。本って楽しい。



2021年4月5日月曜日

Novel in 2021 No.7 緑の庭で寝ころんで/宮下奈都

 2021.4.5  緑の庭に寝ころんで

日々を丁寧に生き、観察し、そこから受ける恩恵を描く。宮下奈都さんに抱いている印象はそんな感じ。子供三人いながら小説を書くってすごいこと。いかにして自分の時間を確保するか。それってすごく大切だし、それが無いと自分を保てなくなりそう。


2021年2月14日日曜日

Novel in 2021 No.6 夜の谷を行く/桐野夏生

2021.2.14  夜の谷を行く/桐野夏生

 今年2冊目の桐野さん。初めて読んだ時と同じく、次の展開が気になってしょうがない文体や内容に痺れる。
 連合赤軍の話だ。本書は始めフィクションと思っていたが、実名が多く登場するノンフィクションものだった。あさま山荘事件は学生運動の末路ぐらいに捉えていたが、てんでそんなことはなく、その実態は狂気で戦慄で悲劇的なものだった。物語は元連合赤軍兵士、西田の目線で進んでいく。彼女は過去の行いで周囲の人間が苦しんだことを重んじ、服役後はひっそり生きていこうと決める。ただ、そんな日常も1本の電話から狂い始める。
 2回目の読書芸人で光浦さんが桐野夏生さんを紹介していた。女が見せる意地悪な態度の描写に興奮していたが、わかる。西田と妹がよく小競り合いをするのだが、その応酬は意地の悪さ、皮肉、悪態、疎外で満ちている。よくこんな苛立たせる表現ができるなあとニヤついてしまう。早く別の作品が見たくなる。

 

2021年2月7日日曜日

Novel in 2021 No.5 共生虫/村上龍

 2021.2.7  共生虫/村上龍

 タイトルから不穏な空気が読み取れる。引きこもりの少年に共生虫という虫が取り付く話。実際には妄想により取り付いたように思い込み、共生虫が取り付いた人は、人を処刑することが許されているというネット上での話を信じ込み、自分の行動を正当化する。
 現実に不満や不平があったり、自分の不甲斐なさを感じていたり、思っていることとやっていることにギャップがあると、「あなたは間違ってない」っていう事象や言葉をどこかに探したくなる。自分に自信がないんだろうなとも思う。
 巻末に印象に残る言葉があった。「不要な接触を断ったから気づくことができたのだとウエハラは思った。他のほとんどの人間は不必要な人間関係の中で本当に自分が必要としているものは何かということがわからなくなっている」引きこもりがいいか悪いかは人に寄るだろうから、どちらかが正しいとは言えないが、2021年現在、僕個人が不必要なものが多すぎて混乱しているのは間違いない。際限なく入ってくるニュース、メール、他人の行動など。今のお前に本当に必要なのか。ミニマリズムではないが、そういった生活を求めて行きたいと思う。
 小説を教義として読んでしまいがちだが、いつも飛躍し過ぎてしまう。でも自分に新たな価値観や物差しが加わる感覚が小説の面白いところだ。


2021年1月27日水曜日

Novel in 2021 No.4 さよなら、ムッシュ/片岡翔

2021.1.27  さよなら、ムッシュ/片岡翔

 一人の青年と喋るぬいぐるみの話。北野武さんの本を読んだ後だけあって、一段とピュアなストーリーに思えた。武さんの本はピュアに犯罪まがいだった。
 主人公の星太朗青年は難病にかかり、余命半年と宣告される。死ぬまでにやってみたいことを彼の唯一の友達である、ぬいぐるみのムッシュと叶えていく。人は失うとわかると、その対象であるひと、こと、ものの大切さがわかる。経験したこと無いけど、命となれば尚更だろう。ある日突然死んだら仕方がないというか、どうしようもない。なら死までのリミットがわかっているなんてのはどうだろう。始めは落ち込むが、覚悟を決められる時が来るのだろうか。入滅し、晴れやかな気持ちで明るい階段を登って行けるのだろうか。
 今こうしてタイピングしてる間も気分がよくない。不整脈なのか、動悸なのか、脳までの道が渋滞してる感じで、血の巡りが悪い。早く寝よう。ブルーライトカットoff。









 

2021年1月25日月曜日

Novel in 2021 No.3 浅草迄/北野武

2021.1.25 浅草迄/北野武

 北野武さんの、幼少期や浅草での思い出を綴った本だ。テレビでは世界丸見えを始め、ずっとふざけてばかりの北野さんだが、小さな頃から変わってないようだ。でもそればかりではなく、映画を撮ったり、執筆したりと、お笑い以外でも世間に貢献しているところがあっぱれだ。三つ子の魂云々というように、幼少期に見たり感じたりしたことが、大人になる頃の性格や行動を形成するのは間違いないだろう。歳を重ねると、計算したり予想したりで行動を自重しがちだが、意のままに進むことで面白いことや、面白い自分にも出会えるかも。そんなことを思った。自分を解放しよう


 

2021年1月20日水曜日

Novel in 2021 No.2 仏教の大意/鈴木大拙

2021.1.20   仏教の大意/鈴木大拙

 難解。実に難解だ。わかりそうで、わからない。いや、全然わからないと言ってもいい。鈴木大拙が1946年4月23、24日に渡り、天皇皇后両陛下に向けて行った「御進講」の内容を文字に起こしたものが本書である。一般的な仏教の教義ではなく、大拙さんが考える仏教の真髄だ。これから様々な仏教書に目を通せば、この本が言わんとすることが理解できるようになるのだろうか。煩悩が無くなる時は浄土への旅立ちの日であろう。
 


2021年1月9日土曜日

Novel in 2021 No.1 日没/桐野夏生

2021.1.9  日没/桐野夏生

 2021年スタート。今年1冊目は桐野夏生さんの「日没」から。新年幕開けなのに日没で、見るからに不安過ぎる装丁だ。桐野さんの小説はこれが初めて。
 何かに取り憑かれたかのうように一気読みをしてしまった。”マッツ夢井”という名の小説家が、小説の内容を正すことを目的とした国家機関に監禁される。冒頭から不穏な空気が流れ、まもなく世界観に引き込まれた。
 最近の日本といえばコンプライアンスとやらをとても気にする。規制や規則でどこも雁字搦めで、未来では何もできなくなるんじゃないかと思うぐらい息苦しい。元々右ならえ右、出る杭は打たれるといった国民性だが、ネット社会が追い討ちをかけ、その激しさは増すばかりである。みんなが周りに合わせ、穏便でぬるま湯のようなハッピーエンドな小説ばかりが溢れれば、いい世の中になるのだろうか。