深夜特急1 香港・マカオ/沢木耕太郎
言わずもがな旅へ足を運ばせる小説だ。筆者自身の経験から綴られる文体からは、その土地土地の喧騒や匂いが伝わる。アジア独特の混沌として雑多な感じがたまらなく良い。と言いつつも、自分自身この地域への旅の経験がないため想像しかできない。
今から10年前の20歳の頃、僕の中で海外へ行くならまずは北米という選択肢しかなかった。アメリカのカルチャーが好きだから、その目で見て感じてみたいという単純な理由だった。ただ日本のバックパッカーたちは若き頃ー少々偏見かもしれないがーみながこぞって東南アジア〜インドを巡っていたというイメージがなんとなくある。そういった類いの文献にはよく目を通していたし、東南アジアは面白そうだなと感じることも多々あったのだが、実際足を運ぶまでは無かった。しかし30歳を越えた今日この頃、とてつもなく行きたくなってしまっている。東南アジアには忘れられた日本の原風景のようなものが残っている…これは知り合いの旧車乗りの方から伺った話ではあるのだが、そう聞いたら行ってみたいと思ってしまったのだ。といってもアジア圏の成長は目まぐるしいらしく、牛を引いて赤土の上をひた歩く人など本当に田舎にしかいないとのことで、都市部なぞは高層ビルも立ち、空港を降り立ったらまずはイメージを覆えされるのだとか。なら田舎に行ってみよう。旅の準備からもう旅は始まっている。
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