2021.2.14 夜の谷を行く/桐野夏生
今年2冊目の桐野さん。初めて読んだ時と同じく、次の展開が気になってしょうがない文体や内容に痺れる。
連合赤軍の話だ。本書は始めフィクションと思っていたが、実名が多く登場するノンフィクションものだった。あさま山荘事件は学生運動の末路ぐらいに捉えていたが、てんでそんなことはなく、その実態は狂気で戦慄で悲劇的なものだった。物語は元連合赤軍兵士、西田の目線で進んでいく。彼女は過去の行いで周囲の人間が苦しんだことを重んじ、服役後はひっそり生きていこうと決める。ただ、そんな日常も1本の電話から狂い始める。
2回目の読書芸人で光浦さんが桐野夏生さんを紹介していた。女が見せる意地悪な態度の描写に興奮していたが、わかる。西田と妹がよく小競り合いをするのだが、その応酬は意地の悪さ、皮肉、悪態、疎外で満ちている。よくこんな苛立たせる表現ができるなあとニヤついてしまう。早く別の作品が見たくなる。
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