2021.1.9 日没/桐野夏生
2021年スタート。今年1冊目は桐野夏生さんの「日没」から。新年幕開けなのに日没で、見るからに不安過ぎる装丁だ。桐野さんの小説はこれが初めて。
何かに取り憑かれたかのうように一気読みをしてしまった。”マッツ夢井”という名の小説家が、小説の内容を正すことを目的とした国家機関に監禁される。冒頭から不穏な空気が流れ、まもなく世界観に引き込まれた。
最近の日本といえばコンプライアンスとやらをとても気にする。規制や規則でどこも雁字搦めで、未来では何もできなくなるんじゃないかと思うぐらい息苦しい。元々右ならえ右、出る杭は打たれるといった国民性だが、ネット社会が追い討ちをかけ、その激しさは増すばかりである。みんなが周りに合わせ、穏便でぬるま湯のようなハッピーエンドな小説ばかりが溢れれば、いい世の中になるのだろうか。
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