ボトルネック/米澤穂信
自分で文章を書くなら、どのように物語を展開させていくかということを意識して読み進めてみると、作家の想像力・妄想力というものは凄まじいものがあると改めてわかる。日常で見られる人間の行動、心情、表情の移ろい方とか、そういった細かな部分の描写をその通りに細かく文字に起こしていくこと。読み手に臨場感を与えるような描写の仕方っていうのは、やっぱり経験と実際に描いてみて得られていくんだろう。頭で練りに練って、こういう風にやろうと計画しても、いざやってみると想定外な方向へ進むことってよくある。ほとんどそうかもしれない。やってみてから考える方がいいんだろうな。やってから考えるって無計画に見えるけど、物事の進め方としては割と理にはかなってるんだろう。
ボトルネックって聞いて、山登りの話と思ってこの本を手にとったけど違った。物語の中心人物のリョウは自分をこの世のボトルネックだと思うんだけど、若い時に思いがちな自己陶酔に近い甘えんぼちゃんだ。(自分もそうだった)自分がこの世で一番とまではいかないけど、俺は世間の奴らより辛い思いをしてるなんて思っちゃってる。今思えば勝手にウジウジしとけって感じだけど、当人からしたらそんなことわからないわけで。そこから何とか気を立たせて、小さなトライエラーを繰り返し、段々と人生を掴んでくる感覚があったのは二十代後半だったと思う。でも今は今で人生って何だろうって考える。自分も変わるけど、環境も変わるから常に答えがわからない。ただ、この答えなんてわからないってことがわかったことは、昔よりは人生の処世術を体得してると言えるかもしれない。諦めることも肝心だ。
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